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手足口病、宮崎で流行警報(2026年4月)— 親世代向け 受診・登園・予防のものさし

Tasunaro Tasunaro · 感染症専門医
更新 2026年5月5日
手足口病、宮崎で流行警報(2026年4月)— 親世代向け 受診・登園・予防のものさし

2026年4月23日、宮崎県が手足口病の流行警報を発令しました。第16週(4月13日〜19日)の定点医療機関あたりの報告数は5.67で、警報基準値「5」を上回りました。患者85人のうち1〜2歳が約8割を占めています。例年は夏(第27〜37週ごろ)にピークを迎える季節性のウイルス感染症ですが、2026年は4月の段階ですでに動き出しているのが特徴です。

外来でも保護者の方から「これは手足口病ですか?」「いつから保育園に行けますか?」「家族にうつしませんか?」というご相談が一気に増えてきました。本記事では、外来でよくお伝えしている内容を整理します。判断軸は、宮崎以外の地域の流行期や、来年以降のシーズンにも応用できる内容です。

この記事のポイント

軽症で経過することが多く、おおむね7〜10日ほどで日常に戻れる
家で見るのは、水分・夜間の様子・気になるサインの3点
登園の目安は「発熱なく、口腔内の痛みで食事に支障がない」
効く薬はないので、家庭内予防(便と手の動線を切る)が中心
5.67
宮崎県の定点あたり報告数(第16週)
警報基準値「5」を超過(宮崎県プレスリリース 2026-04-23)
約8
宮崎県第16週で1〜2歳の患者割合
乳幼児に多い感染症。地元報道(UMK)

2026年、手足口病の流行警報を読む — 宮崎発

宮崎県が4月23日に発表した内容は、第16週(4月13日〜19日)に県内15の小児科定点医療機関から手足口病の患者が85人報告され、1医療機関あたりの報告数が5.67人になった、というものです。流行警報の開始基準値が「5」、終息基準値が「2」と決められているため、5.67は警報レベルに達したことを意味します。地元報道によれば患者の約8割が1〜2歳で、警報レベル超えは2024年9月以来とされています。

全国に目を向けると、国立健康危機管理研究機構(JIHS)の感染症発生動向調査では、2026年第14週の時点で宮崎県・福井県の報告数が他県より相対的に高めでした。例年、手足口病は夏に流行のピークを迎え、過去のデータでは年間症例の約60%が第27〜37週(7〜9月ごろ)に集中します。2026年は4月の時点ですでに宮崎県で警報レベルを超えており、例年より早く動き出していると読むのが正確です。

親側の意味づけは、「今後も流行が継続する可能性があるので、家での観察と登園判断のものさしを早めに揃えておく」です。本記事は、その「ものさし」を整理していきます。

病原体・症状の経過・感染経路

手足口病の原因は、エンテロウイルス(夏かぜを起こすウイルスの仲間)の一群で、コクサッキーウイルスA6型(CV-A6)・A16型(CV-A16)・A10型(CV-A10)、エンテロウイルス71型(EV-A71)の4つが主な顔ぶれです。日本では2011年以降、CV-A6が主流の年が増えてきました。2026年の流行で原因ウイルスがどれかは、ウイルス分離・PCR検査の集計が出るまで確定しません。ここでは、近年の主流であるCV-A6を中心に特徴を整理しておきます。

潜伏期間は3〜5日、発症からは3〜7日ほどで皮疹も発熱も落ち着いていきます。典型的な症状は、口の中・手のひら・足の裏に2〜3mm程度(ときにやや大きめ)の小さな水疱(水ぶくれ)が出ることと、軽い発熱です。発熱は患者さんの約1/3にみられ、その多くは38℃以下と高くないのが特徴です。手足の発疹はひじ・ひざ・おしりにも広がることがあり、口の痛みで食べづらくなる場面もよくみられます。

手足口病の臨床症状(典型症状とみるポイント):①発熱は約1/3にみられ高熱はまれ/②口の症状は口内炎・口の痛み・食べづらい飲みにくい/③手足の発疹は手のひら・足の裏・足の甲に小さな発疹や水疱/④ほかに出る部位はひじ・ひざ・おしり。多くは軽症で3〜7日で改善、口が痛くて食べにくいことがある。受診の目安は水分がとれない・ぐったり・強い頭痛や嘔吐 手足口病の症状経過タイムライン:感染後3〜5日で発症→口内炎・手足の水疱・発熱は約1/3で高熱はまれ→皮疹は3〜7日で改善→多くは7〜10日で回復→便中ウイルス排泄は2〜4週間程度(長引くこともあり)→主にCV-A6では1か月以内に一時的な爪甲脱落が起こる場合あり

注意したいのは、症状が消えても便の中にウイルスが排出され続けることです。飛沫や鼻汁からの排出は1〜2週間ほどでなくなりますが、便への排出は数週〜数か月続くことがあります。一般には2〜4週間程度を目安として説明されることが多いものの、個人差があります。これが「治ったように見えても、家庭内・保育園で感染が続く」根拠であり、後で説明する登園判断と家庭内予防の中心的な前提になります。

感染経路は3つあります。1つ目が飛沫感染(くしゃみ・咳・話しかけのときに飛ぶ唾液の粒子で広がる)、2つ目が接触感染(水疱の中身や唾液が手や物を介して口に入る)、3つ目が糞口感染(便から手を介して口に入る)です。1つ目と2つ目は症状がある期間にとくに強く、3つ目は治った後も続きます。

CV-A6が原因の年には、典型と少し違う特徴がみられることがあります。水疱が大きめで体幹(おなか・背中)・お尻・太ももにも広がる、発熱が38℃以上と高めに出る、大人にも症状が強く出やすい、そして発症から数週間〜1か月以内につめが剥がれる「爪甲脱落症」が起こる、などです(CV-A6の非典型像は Flett 2012、Emerg Infect Dis にも記載)。爪甲脱落症は、2011年に日本でCV-A6の流行が確認された際の感染研報告で、フォローアップされた63例の追跡調査のうち約半数(31例、49%)にみられたとされています。多くは数か月で自然に新しいつめに置き換わります。

家庭でまず観察すること — 軽症の経過と気になるサイン

手足口病の多くは軽症で経過し、おおむね7〜10日ほどで日常に戻れることが多い病気です。水疱の痛みで食事や水分をいやがるのは典型的な経過で、心配しすぎる必要はありません。家でまず確認したい標準的な姿は、3〜7日のうちに皮疹と発熱がゆっくり落ち着き、痛みは口の中の水疱がいちばん強い、というものです。家庭での観察の中心は次の3点になります。

① 水分が取れているか
口の痛みで普段の食事量が減ることはよくあります。食べる量が減っても、水分(水・麦茶・経口補水液)と尿の量が保たれていれば、まずは家で経過をみて大丈夫です。アイスクリームやゼリーなど、口当たりがやわらかく冷たいものは口腔内痛で食べにくいときの強い味方です(1歳未満ははちみつ入りを避ける、冷たすぎは嘔吐を誘発する子もいるので様子を見ながら)。
② 夜間の様子
夜の間に眠れているか、睡眠を妨げるほどの痛みや咳・嘔吐がないかを見ます。夜間に起きてぐずる程度ならよくある経過ですが、ぐったりして起こしても反応が鈍いときは要注意です。
③ 本人の元気さ
発熱があっても、解熱しているときに遊ぶ・話す・笑うといった様子があれば標準的な経過です。解熱しても元気がない、いつもより極端におとなしいときは次の「気になるサイン」を確認してください。

家庭での観察に加え、以下のサインのいずれかが出てきたら、経過観察ではなく医療機関の受診に切り替えてください。これは厚生労働省「手足口病」ページが受診の目安として示している内容を、外来の視点で少し補足したものです。

手足口病の対応と受診の目安:軽症なら家で観察(水分がとれている・夜に眠れている・熱が下がると元気がある)、早めに受診のサイン(水分がとれない・嘔吐をくり返す・強い頭痛・けいれんやピクつき・高熱が続く・ぐったり/反応が鈍い・呼吸が苦しそう)が一つでも出たら早めに医療機関へ。多くは軽症で、安静と水分補給が基本
  • 38.5℃以上の高熱が2日以上続く
  • 嘔吐を繰り返す
  • 頭をしきりに痛がる
  • 水分がほとんど取れない、半日以上おしっこが出ていない
  • 呼吸が浅い・速い・息苦しそうにしている
  • 意識がはっきりしない・呼びかけへの反応が鈍い
  • けいれんがある、または手足が一瞬ピクッと動くしぐさが繰り返される

これらは、ごく稀に起こる脳炎・心筋炎・無菌性髄膜炎・重症脱水のヒントになります。日本の病原体サーベイランス報告を引用したレビューでは、2011〜2012年の報告例ベースで、EV-A71感染による脳炎・脳症は23/2,471例、CV-A16では10/3,202例とされています。これは検査・報告された症例に基づく数字であり、一般の手足口病患者全体のリスクをそのまま示すものではありません。

EV-A71のときは脳幹(脳の中心部)の炎症が起こりうることが知られています。台湾の1998年大規模流行で41人の神経症状を解析した研究(Huang 1999、N Engl J Med)では、けいれんとは別に「手足が一瞬ピクッと動く」しぐさと睡眠障害が早期サインとして整理されました。

日本では現状、CV-A6が主流ですが、稀でも見逃したくない局面のために、上の箇条書きを家族で共有しておく価値はあります。

外来でよく聞かれる質問のうち、安心していただいてよいものを3つ挙げておきます。1つ目は「水疱を破ってしまった」、2つ目は「お風呂に入れていいか」、3つ目は「市販の薬を飲ませてもいいか」。順に、清潔を保てば自然治癒で問題ない・発熱と全身状態が落ち着いていれば入浴可・小児用アセトアミノフェン(市販のカロナール、タイレノール等)は使ってよい、というのが標準的な答えです。

受診で何を確認するか

手足口病は対症療法が中心の感染症で、特異的な抗ウイルス薬はありません。それでも医療機関を受診する意味は3つあります。1つ目が、上の「気になるサイン」が脳炎・心筋炎・重症脱水に当てはまっていないかの確認、2つ目が、水分が十分取れているかと脱水の評価、3つ目が、似た症状の他の病気との区別です。

「他の病気」というのは、ヘルパンギーナ(同じくエンテロウイルスが原因で、のどに水疱が出る)、水痘(みずぼうそう、全身に水疱が広がるが治療と感染対策が違う)、川崎病(5日以上続く高熱と発疹・粘膜変化が出る)、溶連菌感染症(咽頭炎が中心で、抗菌薬で治療する)などです。皮疹の分布や粘膜の様子・発熱パターンを医師が見て判断します。

抗生剤(抗菌薬)はウイルス感染症である手足口病には効きません。残っていた抗菌薬を「念のため」と自己判断で飲み始めるのは、不要な耐性菌のリスクを抱えるだけになるため避けてください(過去記事抗菌薬と薬剤耐性(AMR))。発熱や痛みにはアセトアミノフェン(カロナール)を使うことが多く、年齢と体重に応じた量で構いません。

大人がかかった場合のポイント

大人がかかった場合は、子どもとは別の判断軸になります。子どもより症状が強く出ることがあり、痛みや発熱が強ければ早めに受診してください(仕事復帰の目安・職種別の注意点は記事末のFAQ Q3に整理しています)。

受診のときに伝えるとスムーズな項目

外来では、発熱の開始日・これまでの最高体温・水疱が出た日・水分摂取の様子・気になるサインの有無を伝えてもらえると、診療がスムーズになります。スマホのメモに書き出してから受診すると、本人が泣いていても落ち着いて伝えられます。受診時に園から登園許可証を求められている場合は、最初にひと言「許可証が必要です」と伝えておいてください(次章で詳述)。

手足口病の登園のタイミング — 公的ガイドラインで読み解く

手足口病は、学校保健安全法で「第三種その他」に分類されており、出席停止の強制基準は設けられていません。これは「症状消失後も便中にウイルスが数週〜数か月にわたり排出されることがあり、出席停止だけで流行を抑えるのは現実的でない」という疫学的な理由に基づいています。

その代わり、こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」と、日本小児科学会編「学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説」が、登園・登校の現実的な目安として次の条件を示しています。

  1. 発熱がない
  2. 口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれる
  3. 全身状態が安定している

この3条件がそろっていれば、皮疹が完全に消えていなくても登園できる、というのが公的な整理です。ただし、各保育園・幼稚園で独自に「登園許可証」や「医師の意見書」を求める場合があるため、実務的には園のルールに従う必要があります。

登園許可証は、再受診のタイミングでかかりつけ医に書いてもらえます。保険適用外で、自費1,000〜3,000円程度が一般的な相場です。受診のときに「登園許可証が必要」と最初に伝えておくと、診察と同時に発行してもらえてスムーズです。

便への排出期間は登園後もしばらく続くので、「出席停止で流行を止める」より「便と手の動線を整える」ことが現実的に効きます。これが次の章のテーマです。

家庭内予防 — 便と手の動線を切る

家庭内・保育園での手足口病は、おむつ替え・トイレの後・食事の前のどこかで便から手・手から口へとつながったときに広がります。つまり、対策の中心は「便から手の動線を断つ」「手から口の動線を断つ」の2つです。

便と手の動線を切る家庭内感染対策:①石けんで手洗い(おむつ替え・トイレ後は流水と石けんで20秒、アルコールだけに頼らない)②共用を避ける(タオル・コップ・歯ブラシは家族で分ける、流行期はきょうだい間でも)③汚れた物を適切に処理(おむつや汚れたティッシュは袋に入れて口をしばる、水疱は破らず、つめを短く保つ)④無理せず自宅で休む(解熱し、食事や水分がとれるまで自宅で休む、強い症状があれば受診)

外来でお伝えしている家庭内予防は、次の4つに絞れます。

① おむつ替え・トイレ後の手洗いを徹底する
石けんと流水で20秒以上が目安です。エンテロウイルスはアルコール消毒だけでは効果が限定的になりやすいので、アルコール消毒だけに頼らず、石けんと流水で洗うことを優先してください。家族の大人もこのタイミングは確実に手を洗うようにします。
② タオル・コップ・歯ブラシは家族で分ける
流行期は、感染している子だけでなく、症状が出ていないきょうだいの分も別にしておくと安心です。共用タオルは使わず、ペーパータオルや個人別のフェイスタオルに切り替えます。
③ 水疱を破らない・汚物は密封する
水疱の中身にもウイルスが含まれます。本人が触るのを止めるのは難しいので、つめを短く切り、手洗いを促す形で対応します。汚れたおむつや吐物・下痢便はビニール袋に入れてしっかり封をしてから捨ててください。
④ 大人がもらった場合は無理せず自宅で休む
大人の手足口病は症状が強く出ることがあり、発熱中や痛みが強い時期は職場でも家庭でも感染源になります。可能であれば、解熱して食事と水分が普通にとれるまで自宅で休むのが現実的です。発熱が長引いたり、痛みが強かったりする場合は受診してください。

子どもからきょうだいへ、子どもから親へ、親から職場へ、と感染がつながっていくことはよくあります。きょうだいに症状が出始めても、同じように家で観察していただいて構いません。同居家族の自宅待機が連続することもあるので、祖父母や職場など、休みが長くなった場合の協力体制を一度共有しておくと気持ちが楽になります。

家族で共有しておきたいこと

集団生活を送る年齢の感染症は、家庭でどんなに対策をしても完全には防げません。発症は親御さんの「落ち度」ではなく、ウイルスが流行期に広く回るというだけのことです。家族の「いつもの流れ」に手洗いを組み込めると、家庭内の広がりを抑えるだけでなく、保育園や地域全体の流行の波を弱める方向にも働きます。

手足口病は、個人としては3〜7日でおさまる軽い病気が、集団では数週〜数か月の便中ウイルスを介して長く動き続ける、二重の時間軸を持つ感染症です。出席停止だけでは流行を止められず、便と手の動線を切る家庭内予防が現実的に効きます。

家で確認したいのは、水分・夜間の様子・気になるサインの3点だけです。同じく親世代向けの記事として 「百日咳はマクロライドで治る」はもう古い もまとめていますので、合わせて参考にしてみてください。


参考文献

  1. 宮崎県薬務感染症対策課. (令和8年4月23日)県内の手足口病が流行警報レベル開始基準値を超えました. https://www.pref.miyazaki.lg.jp/yakumukansensho/press/2026/04/20260422100101.html(参照日: 2026-04-30)

  2. 国立健康危機管理研究機構(JIHS). 手足口病(詳細版). https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ta/hfmd/010/index.html(参照日: 2026-04-30)

  3. Gonzalez G, Carr MJ, Kobayashi M, Hanaoka N, Fujimoto T. Enterovirus-Associated Hand-Foot and Mouth Disease and Neurological Complications in Japan and the Rest of the World. Int J Mol Sci. 2019;20(20):5201. doi:10.3390/ijms20205201

  4. Flett K, Youngster I, Huang J, et al. Hand, foot, and mouth disease caused by coxsackievirus A6. Emerg Infect Dis. 2012;18(10):1702-1704. doi:10.3201/eid1810.120813

  5. 国立感染症研究所. コクサッキーウイルスA6型に関連した手足口病患者における爪甲脱落症の集団発生. 病原微生物検出情報(IASR). 2011;32(11):339-340. https://idsc.niid.go.jp/iasr/32/381/pr3813.html

  6. Huang CC, Liu CC, Chang YC, Chen CY, Wang ST, Yeh TF. Neurologic complications in children with enterovirus 71 infection. N Engl J Med. 1999;341(13):936-942. doi:10.1056/NEJM199909233411302

  7. Centers for Disease Control and Prevention. About Enterovirus A-71. https://www.cdc.gov/non-polio-enterovirus/about/about-enterovirus-a-71.html(参照日: 2026-04-30)

  8. Guerra AM, Orille E, Waseem M. Hand, Foot, and Mouth Disease. StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2023 Mar 4 (last update). https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK431082/(参照日: 2026-05-01)

  9. 厚生労働省. 手足口病. https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/hfmd.html(参照日: 2026-04-30)

  10. こども家庭庁. 保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版・2023年10月一部改訂). https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/cd6e454e/20231010_policies_hoiku_25.pdf(参照日: 2026-05-01)

  11. 日本小児科学会. 手足口病|学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症. https://www.jpeds.or.jp/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-11.html(参照日: 2026-04-30)

  12. 国立健康危機管理研究機構(JIHS). 感染症発生動向調査週報(IDWR)2026年第14週. https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/idwr/2026/idwr2026-14.pdf(参照日: 2026-05-01)

よくある質問

手足口病で重症化することはありますか?
ごく稀ですが、子どもの手足口病で脳炎、心筋炎、無菌性髄膜炎などが起きることがあります。特にEV-A71というウイルスでは、中枢神経の合併症に注意が必要です。日本の病原体サーベイランス報告を引用したレビューでは、2011〜2012年の報告例ベースで、EV-A71感染による脳炎・脳症は23/2,471例、CV-A16では10/3,202例とされています。ただし、これは検査・報告された症例に基づく数字であり、一般の手足口病患者全体のリスクをそのまま示すものではありません。多くは軽症ですが、高熱が2日以上続く、嘔吐を繰り返す、強い頭痛がある、けいれんがある、手足が一瞬ピクッと動くしぐさが繰り返される、呼吸が苦しそう、意識がはっきりしない、水分がほとんど取れない場合は、早めに医療機関を受診してください。
症状が良くなれば保育園に登園できますか?
こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」では、手足口病の登園の目安を「発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること」としています。発疹が残っていても、熱がなく、口の痛みで食事や水分が妨げられておらず、全身状態がよければ登園を検討できます。学校保健安全法上、手足口病に一律の出席停止期間はありませんが、園や学校の流行状況、施設ごとのルールで登園届や登園許可証を求められることがあります。その場合は園の方針に従ってください。症状が消えた後も、便には2〜4週間程度、場合によってはさらに長くウイルスが排出されることがあるため、登園後もおむつ交換後・トイレ後の手洗いを徹底することが大切です。
家族が子どもからもらった気がします。仕事は休む必要がありますか?
大人の手足口病では、発熱、関節痛、強いだるさ、足裏の痛み、広い範囲の発疹などで日常生活がつらくなることがあります。手足口病に法定の出勤停止期間があるわけではありませんが、発熱中や全身状態が悪い間は無理に出勤せず、解熱して食事や水分がとれる状態まで回復してからの出勤が現実的です。食品、保育、医療、介護など、人にうつすリスクを特に避ける職場では、職場のルールも確認してください。高熱が続く、痛みが強い、水分が取れない、神経症状がある場合は医療機関を受診してください。
効く薬はありますか?
手足口病に対する特異的な抗ウイルス薬はなく、治療は対症療法が中心です。発熱や口の痛みには、必要に応じてアセトアミノフェン(カロナール)などの解熱鎮痛薬を使います。口の痛みで食事が取りづらい場合は、刺激の少ない食事や冷たい飲み物を工夫し、水分補給を欠かさないことが大切です。手足口病はウイルス感染症のため、抗生剤(抗菌薬)は効きません。水分が取れず脱水が心配なときや、気になるサインが出てきたときは医療機関を受診してください。
妊娠中に手足口病にうつったら、お腹の赤ちゃんに影響はありますか?
多くの場合、妊娠中に手足口病にかかっても、お腹の赤ちゃんに明らかな悪影響を及ぼすという証拠は乏しいとされています。ただし、出産直前に感染した場合は、まれに新生児へ感染することがあります。新生児の感染は多くは軽症ですが、まれに重症化することがあるため、妊娠後期、特に出産予定日が近い時期に発熱、口の中の水疱、手足の発疹などが出た場合は、出産予定の医療機関に連絡して相談してください。家庭内では、流水と石けんでの手洗い、おむつや便の適切な処理、タオルやコップの共用を避けることが基本です。

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Tasunaro
感染症専門医
日本感染症学会専門医抗菌化学療法指導医国際渡航医学会認定医DTM&H

医師になって10年以上、感染症の診療を続けています。 査読論文や医学書の執筆経験を活かし、最新のエビデンスに基づいた情報をお届けします。

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本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療の代替となるものではありません。